200万人の女子生徒が学校を追われたアフガニスタン、NGOシャンティが教育の継続訴え

シャンティ国際ボランティア会が東部の山岳地帯で運営する「コミュニティベースの教室」。民家の一画を利用する。読み聞かせには、日本を含む世界の名作やシャンティが独自に出版した絵本を使うシャンティ国際ボランティア会が東部の山岳地帯で運営する「コミュニティベースの教室」。民家の一画を利用する。読み聞かせには、日本を含む世界の名作やシャンティが独自に出版した絵本を使う(写真提供:シャンティ国際ボランティア会)

絵本の世界は自由

「本の力を、生きる力に」を活動のテーマに掲げるSVAが設置する教室の特徴は、部屋の一画に図書スペースがあること。ただ本を置くだけではなく、教師が読み聞かせする時間も設ける。絵本の購入費などはSVAが23年4月に実施したクラウドファンディングで集めた516万円を使った。

絵本が子どもの心にもたらす効果について、アフガニスタン事務所のプログラムアシスタントのマララさん(仮名)は「アフガニスタンの子どもが直面する現実は厳しい。けれどもお話の世界は自由。その世界に飛び込んでいるうちはとても幸せを感じるようだ」と言う。

アフガニスタンではいまだ、女子教育が再開するめどは立たない。「それでも多くのアフガニスタン人は、子どもたちが継続して教育を受けられることを願っている。(女子生徒の)教育の機会が保障されるよう、国際社会で解決を図ることが必要。それを待つあいだ、私たちがコミュニティベースの教室を続けたい」とムサウェルさんは前を向く。

これも、学校に通えなくなった女子生徒が描いた絵。カゴの中に閉じ込められた鳥に、自由を奪われた自分を投影するかのよう

これも、学校に通えなくなった女子生徒が描いた絵。カゴの中に閉じ込められた鳥に、自由を奪われた自分を投影するかのよう(写真提供:シャンティ国際ボランティア会)

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