TICAD Vを前にアフリカの市民活動家3人が来日、「農業の雇用拡大」など訴える

0219花村さん写真、DSC00111シンポジウムの登壇者たち

アフリカとどう向き合うかを考えるシンポジウム「市民が望むアフリカとTICAD(アフリカ開発会議)の明日=アフリカと日本の新たな関係づくりを目指して=」(主催:TICAD V NGOコンタクト・グループ)が2月9日、JICA横浜で開催された。アフリカ市民社会を代表して、ベナン、ボツワナ、モロッコから3人の活動家が来日。横浜市で6月に開かれる第5回アフリカ開発会議(TICAD V)への期待やアフリカが抱える問題などについてスピーチした。

最初に講演したのは、ベナン出身で、アフリカ市民協議会(CCfA)の代表を務めるグスターブ・アッサー氏だ。TICAD Vの最重要テーマとして「力強い持続可能な経済成長」「強じんで包摂的な社会」「平和と安全」の3つを挙げ、「強じんで、持続可能な経済成長を達成するには、経済的、社会的、環境的の3つの側面を踏まえた、生産規模の拡大が必要だ」と訴えた。

経済成長を促すためには、民間セクターの投資・収益環境を整えることが欠かせない。アッサー氏は「経済基盤を構築すること」「ビジネスの成長を促進すること」「労働力を増大させること」の3つを重要視。とりわけ農業セクターの雇用を増やすべきと述べた。

続いて、ボツワナ出身のマウンゴ・ムーキ氏(CCfA副代表)が登壇し、2015年を目標年とするミレニアム開発目標(MDGs)の達成にTICADがどう貢献するかについてスピーチした。

ムーキ氏は、MDGsの目標1「極度の貧困と飢餓の撲滅」をクリアするためには農業に重点を置くことが重要と力説。現在6%前後の経済成長を続けるアフリカだが、国家予算の10%を農業に充てるべきだと述べた。

ムーキ氏はまた、女性の役割についても触れ、女子・女性への教育を支援したり、女性の地位を向上させることが、MDGsの達成に大きく寄与すると指摘した。

最後に講演したのは、CCfAの事務局長で、モロッコ出身のエルモスタファ・レズラズィ氏だ。アフリカのアキレス腱のひとつである治安問題について「アフリカでは平和と人道主義は不安定で、紛争と虐殺が繰り返されてきた」と現状を説明した。

レズラズィ氏はさらに「アフリカでは武力のコントロールが徹底されていない。武器が密輸され、アルカイダが力を増すというのが構図。アフリカの多くの国では軍が大きな力をもち、市民を支配している。先進国からの援助が武器の購入につながってはならない」と安全と平和の重要性を改めて強調した。(花村優美)