起業ブームのヤンゴン、ホテルマンたちの夢は「独立」!

1005荒井さん、写真1ヤンゴンのビューティーランドホテルⅡで働くマウミーさん。夢は、ツアー会社を経営すること

ミャンマーは起業ブームに沸く。ヤンゴン中心部にある中級ホテル「ビューティーランドホテルⅡ」で働くマウミーさん(35)とイーナインさん(20)も例外ではない。「ホテルの仕事が好き。でもいつか独立したい」と口をそろえる。

マウさんはヤンゴン出身。東ヤンゴン大学(歴史を専攻)を卒業した後、ヤンゴン外国語大学でフランス語を2年勉強した。英語は独学で学んだ。フランス語と英語を操るマウさんは、外国人とコミュニケーションをとるのが好きだという。

ビューティーランドホテルⅡに2005年に就職してからは、主にフロント業務を担当。「ミャンマーのことを海外の観光客に説明することが楽しいし、それが仕事のモチベーションになっている」

多くの外国人と交流できるため、ホテルの仕事は好きだと話すマウさんだが、好きなことをさらに追求するため、早ければ2017年にこのホテルを辞め、ツアー会社を立ち上げる計画だ。資本は友人に出してもらう。

「カルチャーツアーなどを自分で企画し、ミャンマー人の寛大さや魅力を伝えたい。他人が経営する会社に入るのではなく、自分でビジネスを立ち上げたい」

イーさんはマンダレー地方のモーゴ(ルビーの生産地として有名)出身。マンダレー外国語大学でロシア語を学んだ。その合間に、英語の授業をとったり、洋楽を聞いたりして、英語も勉強した。2014年にヤンゴンに仕事を探すために来て、ビューティーランドホテルⅡで働き始めた。

ビューティーランドホテルⅡには多くの日本人が泊まる。イーさんは3カ月前から土曜と日曜日、ヤンゴン市内の「ウィン日本語学校」で日本語を勉強する。「このホテルに来たお客さんで、仲良くなった日本人の友だちがいる。彼女と日本語で話したい。その人に会いに日本に行ってみたい」と目を輝かす。

次の目標は、ヤンゴンを代表する5つ星ホテル「シャングリラ」に勤めること。5年後の25歳になったらミャンマーにある日本企業で働きたいと話す。

ゴールは、30歳くらいで故郷のモーゴに戻って、レストランか洋服店を開くこと。「家族と一緒に暮らしたい。そのために故郷に戻って自分のビジネスがしたい。ミャンマー人は、他人からプレッシャーをかけられるから、会社で働くのは嫌。独立して、自分の仕事を管理したいと思う人が多い」と話す。

2011年に民政移管し、2015年の選挙でアウンサンスーチー氏率いる国民民主連盟(NLD)が政権に就くなど、世界で注目を浴びるミャンマー。2014年度は、ミャンマーを訪れる観光客の増加率が東南アジアで1位になった。2015年の観光客は468万人。民主化による“開国”を追い風に、ミャンマーの若者たちは、夢に向かってステップアップしようとしている。